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【二輪レーサーの死】(最終章)~加藤大治郎~ 享年26歳

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『天才ライダーと呼ばれて』
加藤大治郎は埼玉県浦和市(現:さいたま市)
出身。「伝説」になっている埼玉県「秋ヶ瀬サ
ーキット」のポケバイレースでデビュー。秋ヶ
瀬は本山 哲(現:Formula Nipponドライバー)
の実家が経営している。 一般道の事故死でこ
の世を去った阿部典史もミニバイク時代に大
治郎と共に秋ヶ瀬を走った。同時代に武田雄一
(現:全日本ST600)、亀谷長純(現:全日本JSB-
1000)らのライダーを輩出している。「大治郎
ここにあり」の評判は、留学先「Team高武」
の活躍から伝わった。何と1993年の九州選手
権を「全戦全勝」したの である。地方選手権
とはいえ、練習なしでいきなり走ってこの成
績は驚くほかない。125ccにも乗ったが、やは
り大治郎は「2stの250cc」が最も似合う男だ
った。翌、94年は国際A級へ特別昇格。自分が
大治郎をはじめて見た富士スピードウェイ
は正直、「速い」とは思えなかった。理由は、
マシンがヘボだったからだ。ホンダワークス
マシン「NSR250」を駆る青木宣篤との「差」
は歴然だった。が、7月のSUGOからは「NSR
250」が貸与。 戦績UPから推測出来た。
9月のTI英田(現:岡山国際)では初優勝!マシ
ンが速ければ「必ず勝つ」。そんな雰囲気
から『天才ライダー伝説』は加速して行っ
た。ここが加藤大治郎の「原点」と考える。

その後、最大のライバルでありパートナーの
宇川徹(コンビを組み2000年8耐優勝)とサ
ーキット内外でバトルを繰り広げた。レース
記事でも何かと「Team高武」 の宇川徹(千葉
県出身)と比較される事が多く、その事は大治
郎自身が一番気にしていたと思う。自分の知
人の(元)レースカメラマン(栗山君)によれば
「大ちゃんはナルシスト」と良く語っていた。
自分の優勝したレースビデオを何度も繰り返し
見ていたそうだ。深読みするなら、自分の優勝
したレースで再イメージトレーニングをしてい
たのだろう。『天才』というより、『努力家』
だったのでは・・と思えてならない。
1999年まで全日本250で活躍。特に1997年は
破竹の勢いで8勝もした。更にワイルドカード
で出場した鈴鹿日本GPでは「世界GP初優勝」
の偉業も同時に成し遂げた。
この時点で世界GPへ送り出さなかったホンダ
の選択肢は大人の事情があったにせよ「誤り」
だったといわざるを得ない。
やっと2000年に世界GP250にFULL参戦を開始。
翌、2001年には`11勝も`あげで堂々、世界チャ
ンピオンに輝く。2002年は悲願の世界GP最高
峰クラス「MOTO-GP」へStep UPするもマシン
が最新のRC-211V(4st)ではなく、型落ちのNSR
500(2st)だった。 同僚への「配慮」や供給不
足もあったのだろうが、「開幕から大治郎に
RC211V(4st)を貸与」するべきだった。

レースとは「勝ってナンボ」なのはホンダ自
身が一番良く知っているはず。結局、欧州ラ
ウンド後半、チェコGPからRC211Vを与えら
れるといきなり「2位」表彰台獲得。2002年は
ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞。「今年こ
そ」(2003年開幕からRC211Vを貸与されて)と
期待がかかったMOTO-GP鈴鹿(4/6-)決勝レ
ース中に加藤大治郎シケイン手前でハイサ
イド転倒を喫した。TV映像には一部始終が映
らなかった為、皆が状況を掴めぬまま、ヘリ
コプターで搬送されていく映像だけが目に焼
き付く。「アイルトン・セナ・・」一瞬、脳
裏をよぎった。「いや、大治郎に限ってそん
な事は絶対ない」。そう願った。どうして、
どうして!しかし、皆の願いは天には届かず、
2週間後の4月20日未明、加藤大治郎はサーキ
ットへ帰らぬ人となった。あれから時既に8年
が過ぎた。もし、大治郎が生きていれば34歳。
現役ライダーをしていただろうか?いや、今
年の8耐でも「最速タイム」を叩き出して走
ったに違いない。今なお、大治郎の「遺志」
(ゼッケン74)は皆の心の中でサーキットを走
り続けている。
今年の8耐はホンダを駆る伊藤真一(TSR)が
優勝に輝いた。

一見、華やかに見えたロードレーサー達。
紛れもなく、自分と一緒の時代を生きた
「証」としてブログに記しました。
長々と続いた「二輪レーサーの死」の連載を
終わります。長々とありがとうございました。

参考文献:「カラー版 加藤大治郎」(講談社)

加藤大治郎選手事故調査委員会
http://www.honda.co.jp/daijiro/report/

画像Data:

No74 Team高武・RSC <RS-250> [94,富士]
Nikon NewFM2 ED400mmF3.5S+X1.4 1/500
Iso100

No54 Castrol HONDA <NSR-250> [98,鈴鹿]
Nikon F5 AF-S500mmF4D+X1.4 1/1000
Iso200

No74 AXO HONDA GRESINI <NSR-250>
[00,鈴鹿]
Nikon F5 AF-S500mmF4D+X1.4 1/750
Iso400