写真屋@吉田ブログ

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【二輪レーサーの死】① ~阿部典史~ 享年32歳 (後編)

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『世界GPライダー・Norick・Abe誕生』
93年「Team Blue Fox」から1年落ちホンダ
「NSR500」(4気筒)で全日本500ccデビュー
を果たす!初戦の鈴鹿ではいきなり2位獲得!
ポールtoウィンの本間利彦から「大差の2位」
ではあったが、レース内容は同チームの先輩
、岩橋健一郎を追い抜いての「2位」。見事
なデビュー戦だった。帰路の三重交通バスで
は「いゃ~ノリックは凄かった~!」と話す
人達が多かった。自分は1人なので、「そう
だよな~」と心の中で頷くのみだった。が、
何故だかわからぬが凄かったのは「同感」。

波に乗るノリックは次戦の菅生で初優勝!そ
の後の筑波と`破竹の2連勝`を飾る。
8耐が終わり、秋の後半戦以降は優勝からは
遠のくが、全日本500cc年間チャンピオンに
輝く。シーズン後半「ノリックショック」
に対する「賛否両論」が出た。競い合うの
がレースである以上、「速けれゃ~良い」
というのもまた現実だった。ノリックの走
法は、後に「スライディング走法」と名付
けられた。

翌94年の鈴鹿日本GPに「Mister-donut Yum-
Cha BlueFox」からホンダNSR500を駆り、
スポット参戦。予選7位からスタート。
ケビン・シュワンツ、マイケル・ドゥーハ
ン、ノリック伊藤真一の4台でトップ集団
を形勢。激しいバトルを展開する。17周目
にトップのマイケル・ドゥーハンをかわし
て2位へ浮上。
しかし、残り3周の第1コーナー水溜まりへ
乗り転倒!ノリックは決勝後のレースを振
り返り、「自分としては良く出来たレース
だと思っている」と語った。確かにノリッ
クは転倒こそ喫したが、誰が見てもレース
内容は良かった。この戦い、走りがヤマハ
ウェイン・レイニーの目に留まる。
7月以降、怪我で欠場のダリル・ビーティ
(豪州)の代役で世界GPの英国、チェコ・ス
ロバギア、米国へスポット参戦と同時に
「Team Rainey」へ移籍。翌95年、96年も
「Team Roberts」から世界GP500ccへ(レン
タル)エントリー。97年、98年は「Team
Rainey」からエントリー。99年~02年はサ
テライト・チーム*「Antena3 d'Antin」
へ移籍。サテライトチーム*の参戦ながら
、99年のブラジルと2000年の鈴鹿で優勝。
2003年、2004年は「Fortuna Racing Team」
へ移籍。そして、2005年、2006年は戦いの
場を「ワールド・スーパーバイク」へ移し
、 「YAMAHA Motor France」から参戦。

ノリックの99年以降のチームはヤマハ直営
(ワークス)ではなく、ワークスマシンのみ
を「貸与」するサテライト・チーム*だっ
た。成績の低下はこれらの事情もある。

2007年、全日本ロードレースに「電撃復帰」
したノリックは、既に「ノリックと親子バ
イク教室」や「ノリック杯」等を開催し、
後進の育成にあたるべき時期に来ていた。
もはや「世界GPライダー」というよりは
「日本を代表するライダー」だった。
ただし、近年はノリックが事故死する迄は
、「二輪レースそのもの」が一般のメディ
アに取り上げられることが激減し、話題に
すらならなかった。

最近の若者は「レーサーレプリカ」に憧れ
が無くなった。2005年6月1日から「二輪AT
限定免許」が新しく発行された事によりダ
ンデム(リアシート)に彼女?を乗せるべく、
『大型スクーターブーム』が訪れた。
そこで大型スクーターの楽しさ等を教えて
行く指導者であるべきだったノリックの事
故死。内訳はどうであれ、ヒューマンに
「完全」は存在しない。が、「衝撃」には
違いなかった。
ファッション感覚で大型スクーターを乗り
こなすライダー達は「プロのレーサーでも
命を落とす危険」は肝に命じるべきである。
二輪とはそういう乗り物である。しかし、
「もし」や「絶対」は存在しないが、タン
クを両膝で閉めてバランスを取る従来のバ
イクであったら、ノリックは命まで失うこ
となく、奇跡的に助かったのではないか?
と思うのだ。

ノリックの遺志であった全日本ロードレー
スの活性化(発展)=後進の育成こそが残さ
れた関係者及びロードレースファンに課せ
られた「使命」である気がしてならない。
ロードレースの素晴らしさを伝えるために
もサーキットへ足を運び、言葉にし、伝え
て行く作業を我々がしなければ再びロード
レースの活性化などあり得ない。(終わり)

<撮影データ>

No17 Team Marlboro Roberts YAMAHA
 <YZR-500> [95,鈴鹿]
Nikon NewFM2 ED400mmF3.5S+X1.4 F8
1/125 Iso400

No6 Antena3 d'Antin <YZR-500> [00,茂木]
Nikon F5 AF-S 500mmF4D SWM+X1.4
1/750 Iso200

No6 Antena3 d'Antin <YZR-500> [01,鈴鹿]
Nikon F5 AF-S 500mmF4D SWM+X1.4
1/500 Iso200